northclimbの備忘録

徒然なるままに...です。

距離空間$(\mathbb{R}^n,d_n)$が可分である

 

概要

今回はちょっと重たい数学の話です、、、

距離空間について学んでいるときに$(\mathbb{R}^n,d_n)$が可分であることを証明しようと思いました。しかし、様々な大学のPDFを見ても

"$(\mathbb{R},d)$が可分"

の証明はされていても

"$(\mathbb{R}^n,d_n)$が可分"

は同様にしてできるとだけ書かれていてかなりてこずりました。(本当に同様に示せるのかよと思った)

そこで私なりの証明を考えたので以下に示します。

定義と使っていいこと

今回考えている距離関数の定義はユークリッド距離に準ずるものとします。

具体的には

\(d(\mathbf{p},\mathbf{q}) = \sqrt{(p_{1}-q_{1})^2+(p_{2}-q_{2})^2+\cdots+(p_{n}-q_{n})^2} = \sqrt{\sum ^{n}_{i=1} (p_{i}-q_{i})^2} \)

で定めるものとします。

また、このページを見に来るような人は十分な集合および距離空間に対する知識があるものとして

を使います。

ちなみに、示すことは

$\mathbb{Q}^n$が$\mathbb{R}^n$の可算稠密部分集合であること

です。

証明の大雑把なイメージ

$n=2$のときの大まかなイメージを以下に示します。

f:id:northclimb:20190630132712p:plain

これを繰り返す感じです。

今回の証明で何が言いたいのかバッサリ言うと、「$\mathbf{r} \in \mathbb{R}^n$の$\mathbf{\delta}$-近傍に$\mathbf{q} \in \mathbb{Q}^n$があって、$d(\mathbf{r},\mathbf{q})<\varepsilon$となるように$\delta$を定めることができる」から$\mathbb{Q}^n$は$\mathbb{R}^n$の稠密部分集合だよねってことです。

そこまでいったらあとは簡単で、可算集合$\mathbb{Q}$の直積

$\mathbb{Q}^n = \mathbb{Q} \times \mathbb{Q} \times \cdots \times \mathbb{Q}$

可算集合なので$(\mathbb{R}^n,d_n)$は可分です。

証明

証明は以下のPDFにて配布します。

drive.google.com